
あの時こうしていれば。
「もう考えても仕方ない」とわかっているのに気づけばまた同じことを考えている。
上司に言われたあの言葉、返信の来ないLINE、会議での自分の発言。
「あのとき、ああ言わなければよかった」「やっぱりなんて自分」
考えても考えても答えは出てこない。
それでも「悩んでいるんだから少しは前に進んでいるはず」と思いたい気持ちもありますよね。
実は「悩んでいる時間」という感覚が罠かもしれません。
今回は反すう思考の正体と、「悩む」と「考える」の違いを整理していきます。
反すう思考とは
そもそも反すう思考とはなんなのか。
反すう思考とはネガティブな考えや感情を頭の中で何度も繰り返し再生してしまう状態のことです。
牛が一度飲み込んだ食べ物を口に戻して噛み直す「反芻(はんすう)」が語源になっています。
現代人の多くが「頭の中のひとりごと」を抱えています。
反すう思考とはそれくらい誰にでも起こる身近な現象です。
その時の頭の中ではこんなことが起きています。
- 「どうすればいいか」ではなく「なぜ自分は」という答えのない問いにとらわれる
- 過去の失敗や嫌な記憶を次々と引っ張り出してくる
- 最後は「自分はダメだ」「もう終わりだ」という結論にたどり着く
なぜ雪だるま式にふくらむのか
反すうがやっかいなのは放っておくとどんどん大きくなっていく点です。
記憶はひとつ思い出すと関連する記憶やイメージが勝手に脳内で広がっていきます。
「トマトについて考えないで」と言われるほどトマトが頭から離れなくなるのと同じ仕組みです。
人間は気分一致効果といって、落ち込んでいるときほど落ち込むような記憶を思い出しやすくなる性質も持っています。
思い出すたびに胸がぎゅっとなるような体の感覚も思い出し「やっぱり自分の人生はいつもこうだ」とネガティブになっていくのです。
仕事でひとつミスをしただけ。
それなのに先週の失敗、プライベートでの失敗まで芋づる式に思い出してしまう。
そうなると自分の脳内には過去の失敗が拡散されるのです。
反すうしやすい人の特徴
反すう思考にとらわれやすい人の特徴として完璧主義があります。
- 人からの評価がとても気になる
- できた部分よりも、足りなかった部分にばかり目がいく(減点方式で自分を見る)
- 自分の内面の世界に深く入り込む力が強い
ネガティブとポジティブがあったら、ネガティブな部分ばかり見てしまう。
そんな思考のクセがある人ほど反すう思考にとらわれやすいのです。
ただ、内面に深く入り込める力が悪いとは思わないでください。
人の気持ちや物事の意味をじっくり考えられる人ほどその力が自分を責める方向に向きやすいというだけなのです。
デメリット
「悩むのは真剣に向き合っている証拠」と思いがちです。
しかし反すう思考は努力してでも避けることをオススメします。
それはなぜなのか?
ストレス状態がずっと続く
ストレスを受けると脳内ではコルチゾールというホルモンが分泌されます。
本来なら仕事が終われば落ち着くはず。
ですが反すう思考によって「頭の中の危機」が終わらないままコルチゾールが分泌され続けるのです。
その結果仕事の時間は終わったのにプライベートの時間までストレスを抱え続けることになります。
ネガティブな考えを繰り返すことで気分が落ち込みやすくなり、うつや不安障害のリスクも高まってしまうのです。
パフォーマンスが下がる
反すう思考は問題解決につながらないどころか解決のための行動を先延ばしにしてしまうというデータもあります。
しかも、「どうすれば失敗しないか」という自分の恐れにばかり意識が向いてしまう。
これでは、目の前の仕事に対して何ができるかを考えるための脳のメモリが残りません。
その結果、上の空でパフォーマンスが下がってしまうのです。



失敗を引きずって別の失敗をしてしまう
経験があるのではないでしょうか?
他人への見方まで厳しくなる
自分を厳しく採点する人はそのものさしを他人にも当ててしまいがちです。
「あの人は失敗したから価値がない」と人を成果だけで見るようになってしまう。
そうなれば人間関係はどんどん孤独なものになっていきます。
完璧主義や常に気を張った状態が続き、周りが敵だらけに感じてしまうかもしれません。
悩むと考えるの違い
では、ここで前提の考え方を紹介します。
とてもシンプルです。
役に立つものが「反省」、役に立たないものが「反すう」。
これを日常の言葉に置き換えると、「考える」=反省、「悩む」=反すうと覚えてください。
| 結果 | 考える(反省) | 悩む(反すう) |
|---|---|---|
| 対象 | 次にとる具体的な行動 | 自分の欠点や人格 |
| 頭の中 | 「次はどうする?」 | 「なぜ自分はいつもこうなんだ」 |
| 時間 | 区切りがある | 終わりがない |
| 残るもの | 学び・改善策 | 自己否定と疲労感 |
注意したいのは最初は「考える」から始まっていても何かのきっかけで「悩む」モードに切り替わってしまうことです。
途中で「悩む」モードになったら、そこから先はほぼ無駄な時間になります。
目安として、5分〜10分考えても答えが出ないなら、その思考はいったん切り上げてしまって大丈夫です。
「考える」とは次の行動を模索する時間。
次の行動ではなく、失敗の原因や自分のダメさを探していたらそれは「悩む」なのかもしれません。
「考える」を見分ける質問
今の自分が「考えている」のか「悩んでいる」のかを見分けるために次の質問を自分に問いかけてみてください。
具体的な解決策につながっているか?
「人間関係とは何か」「自分とは」
こんな哲学的なことを考えることはないですか?
「次同じことを成功させるには」「何を改善すればいいのか」
自分の思考に答えがあるのか、探しているのか確認してみてください。
抽象的なネガティブを繰り返しているだけならそれは悩んでいるサイン。
自分でコントロールできることか?
「あの人はどう感じているのか」「あの時の失敗」「もしかしたら次も失敗するかも」
相手の気持ち、過去未来、そんな変えられないことに頭を使っても答えは出ません。
ヨガや瞑想などでよく聞く「今、ここ」自分が今どんな状態かもチェックしましょう。
大切な友人にも同じ言葉をかけるか?
最後は友人にも同じ言葉をかけるのか。
例えば仕事で失敗した時を考えてみてください。
自分には「ほんとお前はダメだな」、友人には「たまたまだよ、次はうまくいくよ」
こんな言葉をかけたりはしませんか?
自分にだけ異様に厳しい。
これも反すう思考が癖になっている人に多い状態です。
もっと自分自身を友人のように大切にしてみてください。
最後に
反すう思考は脳の癖です。
悩むのが好き、悩んでいる時間に意味を見出してしまう。
そんなただの癖、だからこそすぐにやめられない。
まずはこれだけ覚えておいてください。
仕事の指摘と自分の価値を切り離す
失敗したこととあなたの人間としての価値はまったく関係がない。
これを胸に秘めておいてください。
失敗して落ち込む、フィードバックを受けてドキッとするのは自然なことです。
でも、それが「自分はダメな人間だ」ではありません。
指摘は「改善点」、失敗は「成功のための材料」そう考えてください。
わかっていても止まらないときは
「意味がないのはわかっているけど止まらない」。
そんなときがあるのも当然です。
脳の癖である以上は意志の力だけでは止めにくいものだからです。
そんなあなたに思考を切るテクニックを1つご紹介します。


やり方は簡単。
①親指と人差し指をくっつけます。
②親指と中指、その次は薬指、小指、と指を変え、これを5回繰り返します。
③次は中指を抜かして5回、その次は薬指、小指と抜かす指を変えます。
一度やってみてください。
どうですか?
これをやる前に自分が何を考えていたか思い出せないと思います。
人間の脳は同時に複数のことを考えることができません。
なので思考を体の動きや体への意識で上書きしてあげるのです。
どうしても反すう思考が止まらないならこれを思い出してみてくださいね。


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